都紀女加王墓前バス停で待つ。

長崎生まれ佐賀育ち 中高福岡大阪在住 完全趣味の自己満足ブログ。 @tsukimecha

劉邦という男

記憶で語るシリーズ第2弾。前回に引き続き漢楚合戦の主人公とも言える劉邦から。

 

主人公なのでもちろん生まれ身分は低い。中国は下からの成り上がりストーリー好きだよね。劉備とか太公望とか。もともとヤサグレ達のリーダー格みたいなやつだった。当時から仲良かったのが①樊噲。同じヤサグレ仲間みたいな感じ。もう一人が②盧綰。こいつは劉邦と同じ誕生日。んで秦が中華統一した後、始皇帝の暴政に耐えかねて彼ら仲間や奴隷を集めて挙兵。参謀は③蕭何。

 

同じく挙兵した楚の項羽と手を組みながら秦の都咸陽を落とし、秦を滅ぼすことに成功。しかし手柄は項羽にほとんど横取りされ、有名な鴻門の会も経て劉邦らは項羽によって咸陽の左(西)にある漢中の片田舎に左遷される(左遷の語源)。項羽の力が絶大になり漢中からなかなか動けない劉邦。そこに現れたのが前回の主人公、④韓信。数少ない兵力で多数を打ち破る韓信の策で漢中から脱することに成功。ただ、蕭何だけは漢中に残り兵糧などの物資輸送に努め常に後方を守っていた。

 

韓信項羽に味方する諸侯を攻撃する間、項羽劉邦本人を狙うため別働隊を派遣することも多々あった。劉邦はその度に何度も何度も逃げた。そんなある時、⑤丁公という項羽の配下に捕まってしまう。劉邦はここで「もし私を見逃してくれれば、いずれ莫大な恩賞を与える」と提案する。丁公は、項羽が部下に恩賞を与えないことを不満に思っていたのでそれに乗り劉邦を見逃した。

 

項羽に味方する勢力で六江を支配する六江王⑥英布は強敵だった。韓信は離間の策で項羽と英布を仲違いさせ、英布を劉邦陣営に引き入れた。劉邦は感激して英布に黄金を送り、英布も韓信の策の下大いに活躍した。

 

項羽を敗死させ劉邦の天下が決まった垓下の戦いの際、誰を一番の功労者にするか悩んだ。軍を動かしたのは韓信であり、その下で武を振るったのは樊噲や盧綰、英布。だが、項羽の兵糧を焼き払った⑦彭越の働き無くしては項羽軍が内部崩壊に至ることはなかったろう。悩んだ挙句に蕭何を選んだ。たしかに、韓信率いる大軍が兵糧を心配せずに済んだのは蕭何のおかげであった。

 

さて、劉邦によって前漢が建国されるわけだが、ここで劉邦の栄光物語は幕を閉じる(個人的に)。

 

ここまで数字を付けてきた前漢の建国に大いなる功績を残した人物たち。彼らは劉邦によって罰せられることとなる。

 

②盧綰は皇帝となった後も劉邦の寝室に出入りが許される程の仲であったにも関わらず、とある讒言を信じた劉邦は①樊噲に命じてこれを追討させた。盧綰は匈奴に流れることとなる。

 

①樊噲は幼馴染である盧綰追討に乗り気ではなかった。それを不審に思った劉邦は樊噲を罷免。

 

⑦彭越は反乱を疑われ劉邦自らに討伐され、死体は切り刻まれ見せしめとして諸侯に送られた。

 

⑥その彭越の肉片を見た英布は次は自分の番だと恐れて先手を打って劉邦に対して挙兵。劉邦自ら出陣し英布は討たれた。

 

韓信も幾度となく讒言を信じた劉邦によって位を下げられ、それに怒った部下からも反乱を提案する声が後を絶たなかった。韓信がその気になり準備をしたところ③蕭何にバレ、処刑される。

 

③蕭何も自分の領地内での政策が劉邦の気に触れ、獄に繋がれる。

 

という感じ。項羽と劉邦、この両者は部下の話を聞かない貴族上がりの項羽と部下の話を聞く庶民出身の劉邦っていう対比も面白いのにやはり権力を手にした大人は弱い。横山光輝も「項羽と劉邦」という漫画を描いているが、劉邦が天下を取った時点で物語を終わらせている。あとがきには「猜疑心の虜となった劉邦を描きたくない」的なことが書かれてあった。その通りだね。

 

⑤丁公のことを忘れてました。こいつは劉邦が天下取った後のこのことやってきて約束通りの恩賞をたかります。劉邦は丁公を捕らえて「このような奴がいたから項羽は負けた」と言って引き回して処刑。まぁ、これは妥当。