都紀女加王墓前バス停で待つ。

長崎生まれ佐賀育ち 中高福岡大阪在住 完全趣味の自己満足ブログ。 @tsukimecha

エヴァ学 あとがき 人類補完計画とサードインパクト

 

人類補完計画に必要なサードインパクト。これには色々な考え方があります。

 

私の考えとしては、「神を造り、神のみが持つ力アンチA.T.フィールドを展開させ、現生人類を一つにして還元する」というもの。

 

んで、「神」とは生命の実と知恵の実の両方を持った存在のこと。この地球では生命の実を持ったアダムと知恵の実を持ったリリスに分けられたせいで神を造るのが上手くいかない。この両者の融合が必要になります。しかも、アダムではなくリリスを神としなければ人類=リリンの還元はなりません。その先駆けとしてゼーレがアダムを手にしようとしたのがセカンドインパクト。簡単に言えば、これで手にしたアダムをネルフのターミナルドグマで磔になっているリリスにぶち込めば「神」が誕生するわけです。

 

では、どうやってアンチA.T.フィールドをこの神に展開させるか。神となったリリスに「アンチA.T.フィールド展開して!」とお願いすることはできません。そこで必要なのがロンギヌスの槍。神殺しの槍とも呼ばれるこいつはいかなるA.T.フィールドをも打ち破る。これで神を貫き、強制的にA.T.フィールドを無効化させることでサードインパクトが起こり、その先の人類の補完が成ります。

 

これがゼーレの思惑でした。でも、途中で邪魔が入る。それが碇ゲンドウ。第15使徒アラエル戦においてゼーレに無断でロンギヌスの槍を宇宙にぶっ飛ばしてしまいます。このせいで、リリスを神としてもアンチA.T.フィールドが展開できなくなり当初の計画は頓挫します。

 

じゃあどうするか。実はこの一個前の使徒との争いで神に等しい存在になった奴がいます。それがエヴァ初号機。第14使徒ゼルエルを暴走の中で食ったおかげでSS機関=生命の実を得ました。初号機は唯一リリス=知恵の実より造られたエヴァなので(諸説あり)、エヴァ初号機は生命の実と知恵の実両方を兼ね備えたいわば神のような存在となります(厳密にいうとこの時点ではまだ違う)。

 

依代リリスから初号機に変えたところで、ロンギヌスの槍がないとアンチA.T.フィールドは展開できません。じゃあ、神自身にアンチA.T.フィールドを展開して貰えばいいのです。ゼーレはそう考えました。そして、初号機の魂たる碇シンジにアンチA.T.フィールドを展開させる=デストルドーを発現させようとします。そこでやったのが第16使徒カヲルをシンジのその手で殺めさせること。

 

その後初号機を依代としてサードインパクトが起こりますが、なんとロンギヌスの槍が宇宙から戻ってきます。そして初号機と融合しセフィロトの「生命の樹」へと還元され、強制的にアンチA.T.フィールドが展開され人類のA.T.フィールドは全て失われます(現生人類の滅亡)。

 

ここまでがサードインパクト

 

でも、この先の未来は神=シンジが決めます(最後の審判)。このまま人類がA.T.フィールドを失い曖昧な存在を望むか(人類補完)、元のように他者の存在を望むか。前回話したようにこの物語の中で成長した彼は他人の存在を求め、再び人類は元に戻ります。つまり、サードインパクトは起きたものの人類補完計画は失敗という感じです。ちなみに、漫画版最終巻ではサードインパクト後の世界が少しだけ描かれています。とても興味深いので是非読んでみてください。

 

この最後の審判依代の神がリリスだったら起きようがありません。だって、ロンギヌスの槍で貫かれた神は「死」なので、その後の未来を選ぶことなどできないからです。つまり、人類が再び元に戻ったのは依代が初号機になったおかげ。で、依代が初号機になったのは第14使徒ゼルエルを暴走で食った=碇ユイの覚醒のおかげ。ゲンドウが勝手にロンギヌスの槍をぶっ飛ばしたおかげ。で、ロンギヌスの槍をぶっ飛ばす口実ができたのは第15使徒アラエルが馬鹿みたいに遠くにいたおかげ。…と、まぁ色んな事情が偶然か必然か重なり合いまくってハッピーエンドを作ったんです。

 

 

おまけ 最後のシーン(首締め)についての個人観

 

この前三島由紀夫vs東大全共闘の映画を見たんですが、三島由紀夫の考え方がこのシーンにピタッときたんですよね。「相手との対立は相手に対して主体を認めようとする、相手を物体視しないとする関係を作る方法」みたいな感じで言ってたと思います。

 

映画「Air/まごころを、君に」の冒頭でシンジはアスカの裸を見て自慰をするシーンがありますが、これはまさしくアスカを物体視しているわけで。最後の首締めは主体ある他者として認めていることになります。

なんでアスカの首を締めたのかというと、アスカだからというよりアスカがシンジにとっての他者の象徴だからです。ミサトも加持も死に、トウジもケンスケも引越し、レイの秘密も知り、カヲルも殺し、他者と呼べる存在はアスカしか残らなかった。だからサードインパクト直前のシンジの心理世界の中でシンジを罵倒しまくるのはアスカの声ばかり。これはアスカへというよりは他者への嫌悪感の象徴。

そういった声への対抗として他者=アスカに主体を見出し、攻撃したのが首締めという形で現れたのかなぁと。何はともあれ、他者の存在を望んでいるからこそできる行為です。他者の存在を望んだからこそ好きにもなれるし、嫌いにもなれるし、攻撃されるし、攻撃できる。人間だもの。それを覚悟の上でのシンジの選択だってことです。