都紀女加王墓前バス停で待つ。

長崎生まれ佐賀育ち 中高福岡大阪在住 完全趣味の自己満足ブログ。 @tsukimecha

※車が故障したときは

 

まだ6月だというのにクソ暑い山の中。車が高速で通り過ぎるすぐ側の草むらで私は佇んでいた。

 

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ーーー緊急事態宣言も終わり、1人なら良いだろうと思って阿蘇神社に向かうことにした。12:00前に久留米ICから九州道下り方面へ。お腹が空く昼の時間だ。阿蘇に向かう高速道路区間の久留米IC〜熊本ICの間には玉名SAや北熊本SAがある。道中ふらっと寄る食事はドライブの楽しさを助長させる。どこで何を食べるかワクワクしながら、肥後国一宮の鳥居に向かって点検したての愛車を走らせる。

 

九州道は久留米以北は片側3車線で交通量も多いが、ここより南はかなり空いておりとても走りやすい。スポーツモデルの私の愛車は高速道路のようなオンロードでこそ真価を発揮する。舗装された道の上で扁平率の低いスポーツタイヤは相性抜群だ。気付けばあっという間に県境を越えて熊本県に入った。

 

この辺りから車窓は平野から山中へと変わる。草木が道の両方を囲んでいる。ふとフロントガラスの左側にポツポツと水滴が現れた。もしかしたらここら辺りは前日雨が降っていたのかもしれない。そう思いワイパーを1度だけ動かした。今思うと、これが最初のサインだったのである。

 

熊本県最初のICである南関ICを越え、更に勾配もキツくなる。九州道熊本県内部分はアップダウンが激しい。特に八代以南は全国的に見てもかなりの難所だろう。自然とアクセルを踏む力も強まる。

 

するとどうしたことか。急にアクセルが効かなくなり、みるみる速度が落ちる。車のギアを下げた時のような衝撃が連続し、不器用なブレーキが勝手に掛かり始めた。ギアを確認するがちゃんとドライブのままで、何度かギアを入れ替えてみても減速が止まらない。メーターを見ると「auto」の表記が光っており、更にもう一つ「故障警告」の表記も点灯していた。

 

こんな状況下でも私は驚くほど冷静だった。いずれ停まってしまうことを予感した私はハザードランプを付けながら路肩に車を寄せた。だが、そこは登り坂かつカーブの途中という見通しの悪い場所だったため、安全な場所まで路肩をちょっとずつ移動した。アクセルを踏むと、時速20kmくらいまで加速したら勝手にブレーキがかかる。その繰り返しでガクンガクンと衝撃を受けながらなんとか直線まで持っていくことに成功した。

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車を買うときにJAFの会員になっており、その時にもらったパンフレットに緊急連絡先が載っていたため、すぐにそこに連絡。

 

「事故ですか?故障ですか?」

 

「故障です」

 

「レッカーが必要な状況ですか?」

 

「はい。レッカーをお願いしたいです」

 

「大体の場所はわかりますか?」

 

九州道 下り方面、南関ICを過ぎた先136.7km地点です」

 

高速道路には100mごとに距離を示す標識がガードレールに付いている。場所を伝える時のために先程車を少し動かした際にこのすぐ側に停めておいたのである。

 

「分かりました。その場所ですと約50分ほどかかります。車から出てガードレールの外側で待機していて下さい」

 

その後まもなくNEXCOの方々が車の後方にカラーコーンを置きに来てくれた。

 

NEXCOの方達も去っていき、ここから地獄の45分間が始まったのである。

 

憎いほどに良い天気。暑い。汗が止まらない。身体には虫が集り始める。周りからは奇異な視線を向けられる。博多と熊本を結ぶ高速バスひのくに号の乗客とは全員と目が合った。これほどまでに空気になりたいと思ったことはないだろう。違反改造バリバリの騒音WRXや速度超過911カレラがそばを通り抜ける。普段なら目で追ってしまうだろうが、この時は「なんでこいつらは故障せんのや」という気持ちしかなかった。この世の全てを恨んだ45分間だった。

 

レッカーが到着した。私の車を載せ、とりあえず安全な場所まで持って行ってから手続きを踏むことになった。私はレッカーの助手席に乗った。降りたのは玉名SAだった。まさかこのような形で来ることになるとは。扁平率の低いスポーツタイヤはもう路面に触れてすらいない。

 

ここで保険会社、車会社に連絡をする。保険会社には故障の状況を説明してレッカー費用が保険で適用されるかの確認。車会社には故障者をどこの店で引き取ってもらうか申請する。結果、点検をした久留米の店で引き取ってもらえることになった。保険が下りることも確認し、レッカーのおっちゃんに久留米店まで運んでもらうようお願いする。

 

菊水ICで一旦高速を出たあと直ぐに入り、久留米ICに向かう。この間はレッカーのおっちゃんとの楽しいドライブデートだ。神社の話、これからの話、佐賀の話と会話を弾ませていたらあっという間に久留米に帰り着き、無事お店に車を届けることができた。そして、代車を借りて家に戻った。…えっと、何しに出掛けてたんだっけ。

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ちなみに原因はラジエーターの冷却水の弁が故障したせいだということ。あの時窓に付いた水滴はおそらくその水だったのだろう。これを機に他の部分も部品全部新しいものに替えてくれる(もちろん無償)とのことなので、まぁ、うん、結果オーライ!!