魏延という男
男シリーズ第7弾。今回も三国志から魏延という蜀の武将。愛が溢れて長くなりました。
こいつは正史と演義でちょいちょい話が違うけど、まぁ面白さをとって今回は演義の内容で。
↑表紙を綺麗に見せるためだけの写真。筑後川
三国成立前、魏延は荊州の諸侯である劉表に仕えていた。荊州は南北に広くて、北部は中央にも近くよく戦争の場となったが、南部は戦争もほとんどなく文化が花開いた。諸葛亮孔明が住んでたのもこの地域。多くの知識人が暮らしていた。
荊州が騒然とし始めるのは曹操が北の雄袁紹を滅ぼしてから。後顧の憂いを絶った曹操は安心して南下し始めたというわけ。当時劉表のもとには曹操から逃げ延びた劉備が客としてもてなされてて、劉備はそれに応えるべく曹操との国境を守ってた。
曹操軍南下の報を聞いた荊州内部は徹底抗戦派(親劉備派)と降伏派(親曹操派)で割れた。劉表はこの両方の意見をまとめきれず病死し、後を継いだ息子劉琮は外戚の蔡瑁(親曹操派)の意見を採り曹操に降伏。劉備は孤立して曹操軍から逃れながら夏口に逃げた(長坂の戦い)。魏延は親劉備派であったので、曹操に降伏した中央から離れて荊州南部に逃れ、長沙の韓玄の元に身を寄せる。韓玄の元には猛将黄忠も身を寄せていた。
のちに赤壁の戦いで曹操が破れ荊州から去った後、劉備は荊南争奪戦をしかける。んで、長沙にやってきたのが関羽。これは曹操を見逃した罪滅ぼしの為でもあった。
有名な黄忠との一騎打ちはおいといて、魏延は韓玄を殺し開城。劉備を出迎える。韓玄は演義だと悪役だけど、実はかなりの善人だったっぽい。
劉備は降伏してきた魏延を厚遇するけど、諸葛亮は一目見て「こいつは反骨の相がある。将来絶対裏切る。裏切ったら殺す。」とか飛ばしちゃう。イカすぜ、孔明さん。さらには殺そうとしたところを劉備に庇われる始末。こんなん初対面で言われちゃずっと気にしちゃうって。
その後魏延は劉備の下で数々の戦いに参戦。劉備が建国した蜀には五虎将っていう架空の最強将軍たちがいて、それには残念ながら選ばれてないけど魏延の活躍ぶりは中々のもの。少なくとも五虎将の黄忠よりは貢献度高いと思うけどね。黄忠は韓玄に対してもブレなかった忠誠心で魏延に勝ったのだろう。
↑'唯我独尊'。性格をよく表してる
漢中戦では曹操を怯えさせ、南蛮戦では趙雲と異国の謎軍(どうぶついっぱい)を撃退し北伐では趙雲死後最強の蜀将として常に第一線にいた。魏の王双を斬り伏せるなど武勇伝も多い。が、彼はその武勇への自信から傲慢で態度が悪く、諸葛亮に公然と歯向かっていくようになる。遂には諸葛亮は魏延を司馬懿もろとも爆殺しようとするが、雨☔️により助けられる。怒った魏延は諸葛亮を詰問するが諸葛亮は馬岱(蜀の将軍)のせいにし、馬岱は身分を剥奪され魏延の下に組み込まれる。
諸葛亮の延命儀式では最終段階で魏延が祭具をぶっ倒し台無しにし、諸葛亮は五丈原に散った。後を任された楊儀(魏延キライ)は魏延を置いて蜀に帰ろうとしたため、魏延はこれに反旗を翻し楊儀を攻め立てる。楊儀の挑発に乗り「私を殺せるものがあるか」と叫んだ魏延。「ここにいるぞ」と側に控えていた馬岱。魏延父子は馬岱に斬られた。これ、胸熱シーン。ぜーんぶ死んだ諸葛亮の生前の策。
↑ゲームでも登場時「ここにいるぞ!」とボイスが入る。オタクホイホイ
正史ではこんなドラマチック演出はないけど馬岱に斬られたのは同じ。傲慢な魏延を諸葛亮が処罰できなかったのはひとえに蜀の人材不足ゆえ。五虎将は既に失く、劉備時代譜代の少ない将の一人である魏延が魏に走りでもしたら、それこそ蜀は瓦解してしまう。魏延も謀反の際「諸葛丞相がいたから立ち上がれなかった」と言っており、今にも切れそうな線をお互いで支え合ってた感じ。
三国志のストーリーは基本的に三国成立までとその後に分かれるんだけど、三国成立までがやっぱ群雄割拠しててめちゃおもしろいんだよね。その時代にほとんどの有名武将は死んじゃうから(劉備、曹操、公孫瓚、袁紹、呂布など)、そこを生き残って後半も頑張る武将見てるとやっぱ思い入れが違う。一番は趙雲。物語初期は公孫瓚と袁紹の北平白馬陣合戦で暴れまわり、その30年後には今のミャンマーあたりで謎軍(どうぶついっぱい)と戯れるなんて思いもしないでしょ。魏延も似てる。趙雲死後ワントップとして蜀を支えた姿はその性格を目立たなくするくらいにカッコいい。死に際のストーリーも良いものを用意してくれた。ありがとう羅貫中。でも魏延の首を楊儀が踏みつけるシーンはいらなかったかな。楊儀一瞬でキライになったよ。
好きなことだと簡単に2000字かけるのに、レポートは全然かけない。